「仕上げる力」が成果を左右する

これまでのビジネスシーンにおいて、優秀な人の条件の一つは「質の高い文書を迅速に作成できること」だった。自分の頭で考え、論理的な構成をつくり、速くタイピングする能力が高く評価されてきたのだ。

書影
水野操『思考を150%言語化するAI文章術』(青春出版社)

しかし、書くスピードでAIに勝てなくなったこれからの時代は、「目利きする力」こそが求められる。膨大な情報から本質を見抜き、AIが提示した複数の選択肢から最適解を選び取る力。そして、長い文章の背後にある文脈や複雑な利害関係を理解し、主張の妥当性を瞬時に把握する能力。これこそが、新たな時代に求められる優秀さである。

AIをあなたの部下だとイメージしてみてほしい。構成もよく、流暢に書かれた90点の文書を持ってきたが、どうも読み手に訴えるものが表現できていない。あるいは、ほんの少しだけ相手への配慮が足りない。

そのドラフトを読み込み、あなたの知見と感性で微修正を加えて100 点の完璧な成果物、あるいは期待を超える120点の成果物にして世に出す。

この「最後の10点(ラストワンマイル)」を埋める力こそが深読の正体であり、人間がAIに仕事を奪われないための最後の砦なのだ。

AIは平均点を出すことに関しては天才的だが、人の心を動かす成果物を生み出すには、人間の介入が不可欠である。その介入の質を決めるのが、あなたの読解力なのである。

書く力は潔くAIに譲ろう。もはやそれは、人間が汗水垂らして競うべき領域ではない。その代わり、私たちは「読解力」と「価値判断力」を極める。

言葉の真意をくみとり、正しさを問い、心を込める。この人間らしい営みこそが、AI時代の仕事の本質となるはずだ。

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