脳はエネルギーを節約したい
現代のように安全が確保されていなかった頃、人類は生き延びることがとにかく困難でした。
そんな環境では、「危険を避けること」と「エネルギーを節約すること」が、何よりも重要視されます。
その時代のままの脳が、現代社会で「よくわからないこと」に直面したら、「自分でゼロから考えるよりも、正しそうな人の意見に従うほうが、手っ取り早いし安全そう」と考えます。
親の言う通りの進路を選べば、失敗しても言い訳が立つ。
上司のやり方をなぞれば、何があっても怒られない。
SNSでバズった商品を買っていれば、間違いない。
こう並べると、責任逃れみたいに見えるかもしれません。
ですが、脳はエネルギーを基本的に節約したいので、脳が省エネのために「リスクを減らし、エネルギーを節約したい」と考える結果、起こる現象が情報的影響なのです。
あなたが優柔不断だから、といった理由で起こるものではありません。
心の弱さではない。
日本人の相づちは世界一
私たちが聞きすぎてしまう原因は、脳だけでなく、日本語という言語にもあります。
日本語は世界の中でも、聞く側に負担の大きい言語です。
その象徴が「相づち(バックチャネル)」です。
日本語話者は、「はいはい」「そうなんですね」「たしかに」「へえ~」「マジっすか」「ヤバいですね」……などと、相手の話に合わせて、こまめに相づちを打ちます。
言語学の研究でも、日本語の会話では、英語や中国語よりも相づちが高頻度で使われるという結果が出ています。日本人のほうが、タイミングも回数も、倍くらい早く・多く、相づちを打つという指摘もあるのです。
ここで問題なのは、日本人は「聞く」のが好きで相づちをたくさん打っているわけではない点です。
そうではなく、「ちゃんと聞いていますよ」と示さないと、相手の機嫌を損ねかねないという社会の空気がベースにあります。
つまり日本人は、聞く「行為」にエネルギーを注ぎ込んでいるのです。
