建て直すのは自宅か伯父の家か

生活保護しか打つ手がないと考えていた高田家だが、前述のとおり、現金資産と不動産を相続したことにより、生活設計は劇的に変わった。

少なくとも、親亡き後、生活保護に頼るという選択肢はなくなったわけである。とはいえ、母親は「生活保護のお世話になる」というプランしか持ち合わせていなかったので、どうしたらよいのかと悩み、筆者のところに相談に来た。

相続した不動産について尋ねたところ、伯父から相続した不動産は、自宅として居住していただけではなく、賃貸部分もあってアパートとしての機能も併せ持つ物件だ。築年数は35年くらい。アパート部分は4部屋あり、2部屋は入居中とのこと。伯父が存命中から契約していた不動産管理会社が、そのまま2部屋の管理を継続している。

家計表は相続前のものなので、アパートの収入は入れていない。実際には14万円くらいの家賃が入るようになったので、高田家の年間の赤字は消えた。だが、非課税家庭ではなくなる可能性があり、社会保険料の負担は上がると思われる。

高田さん母子が住んでいる自宅は、築年数が40年を超えている。屋根がいたんで雨漏りし、風呂釜の調子もよくない。だが、貯蓄が底をつく不安が強かった母親は、修理費用を出し惜しんで、最低限の修理しかしてこなかったそうである。

自宅を建て直そうにも、その資金がないため、あきらめてきた。それでも母親は、自分が生きているあいだは、今の家に住み続けたいと考えていた。傑さんも、同じ考えである。

古い民家の部屋
写真=iStock.com/Actogram
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自宅建て直しで話がまとまったが…

だが、相続財産が入ったことで、建て替えが可能になった。かつ、伯父の家を建て直して、そちらに住み替えるプランも検討できるようになった。伯父のアパートにはまだ居住者がいるため、近いうちの建て替えは難しいとしても、プランを立てるのは可能である。

どちらの家を建て直すかという視点で話し合ったところ、「息子の生活環境を変えたくない」という理由から、自宅を建て直す方向で話がまとまった。

問題は、建て替え中の仮住まいの場所だ。民間アパートへの住み替えについては、母親が懸念を示したので、建て替え中は伯父の家に住むのが現実的ではないかという流れになった。そして、建て替えが無事に終わったら自宅に戻るというプランが、実現性が高いのではないだろうかという話になった。

建て替えが無事に済んだら、伯父の家は売却して、現金化することを検討している。建て替えで、手持ち資金はかなり減るが、伯父の家の売却資金をアテにできるので、資金面では問題なさそうである。

伯父の家を将来は売却することになるが、すぐには居住者に立ち退きを迫らず、退去するのを待つことになった。立ち退きの際に支払う費用が心配だからだが、あまりにも長引いたら、立ち退きのお願いをする可能性も残しておく。