伯父から不動産と現金を相続した
相続財産を受け取る前の、高田家の財政状況を整理していこう。
母親が受け取っている遺族年金は、月額にすると15万円程度。一方の支出は、ひと月20万円程度。月の赤字はひと月約5万円、年間にすると60万円くらいになっていた。そのほかに、冠婚葬祭費や孫へのプレゼント代、家電の買い替え費用などの特別支出の負担も合わせると、赤字は年間で90万~100万円くらいになっていた。
ところが、だ。貯蓄が400万円台まで減り続けた頃、母親の兄に当たる伯父が死亡した。伯父は若いときに結婚をしていたが、40代で離婚してからは一人暮らし。その結婚で、子どもは授からなかったという。
伯父は働いていない傑さんのことをよく思っていなかったので、伯父と甥の関係性は悪かった。そのため、20年以上、会うことも、電話で話をすることさえなかったという。そのような関係性の伯父から、母親はともかく、自分にまで遺産が回ってくるとは、夢にも思わなかった、と傑さん。
ちなみに、姉も伯父の遺産から現金の一部を相続している。
親亡き後は生活保護を視野に
話は戻るが、伯父の遺産を受け取るまでの母親は「将来息子には、生活保護を受けてもらうしかない」と考えていた。生活保護の支給条件などを調べることもしないまま、「将来は生活保護」だと決めつけるしかなかったという。
傑さんのケースから少し話はそれるが、ひきこもり家族から生活保護のことでよく聞かれるのは、「家を持ったまま、生活保護を受けられるのか、否か」である。この答えは、イエスの場合もノーの場合もある。なぜなら、8つある生活保護のひとつに当たる住宅扶助については、持ち家の評価額が居住地の自治体が決めている基準額を下回っていれば、自宅に住み続けたまま、生活保護を受けられるからである。
だが、「将来は生活保護」と決めている家庭でも、居住地の基準額を調べている方に出会ったことがない。親亡き後に生活保護の受給を希望しており、かつ自宅を保有している家庭は、基準額を調べることをお勧めする。
ちなみに、生活保護が開始された後は、固定資産税は免除される。生活保護受給者は、税金関係が免除になるからである。

