就職しても学生気分を捨てられない

BeRealによる個人情報流出事件を起こしたのは、若い社員や教員たちだった。大学生の頃から日常的に通知がきたら撮影するのが当たり前になっていた若者たちが、就職した後にも行動を変えなかったことで個人情報流出につながった。

そして今、setlogを使っている若者達が意識を変えないまま就職した場合、同様に重大な個人情報流出事件につながるリスクがあるのだ。

企業としては、BeRealやInstagramのストーリーズのような消える系投稿だけでなく、setlogなども含めた他のSNSでの投稿にも注意を配る必要がある。社員に対してリテラシー研修を行い、社内では撮影しないとか、守秘義務違反になる投稿はしないなどのルールを徹底すべきだろう。

スマートフォンを持つ若者たち
写真=iStock.com/golubovy
※写真はイメージです

常時つながり合うことで安心するZ世代

「起きている間ずっと、自宅でも友達とスピーカーでつながり続けている」という高校生の話を聞いた。一方、家族からは「テレビを見ていても食事をしていてもこちらの話し声も伝わっているらしいので、非常に不快」という声が上がる。日常生活のすべてが共有されており、うるさい上に気も遣うと評判が悪いようだ。

Zenly、Whooなどの位置情報共有アプリで居場所を共有し続ける。BeRealで加工しない写真を共有する。setlogで、1時間ごとのリアルを動画で共有する。なぜ若者たちは、このようにつながり続けることを求めるのか。

若者がメインに使うSNSは、Instagramだ。それでいながらInstagramでの「映え」に疲れており、装うこと、装われることに疲れている。中には、通常の投稿はせずにストーリーズだけ、DMだけという使い方をする学生も増えている。

同時につながり続けること、嘘をつかないこと、隠さないで見せ合えることで、お互いの親しさを確かめ合っている。仲間はずれを極端に嫌い、仲間の輪に入っていることで安心している。「ぼっち」を異様なほど嫌い、孤独にならないよう、起きている時間すべてつながり合うことで安心しているのだ。

一方で、複数のアカウントで顔を使い分けることも一般的で、本音を言える相手がいず、生成AIに相談しているという学生も多い。日常的に生成AIに相談しているある学生は「本音を言いすぎて嫌われたくないからかも。同じことずっと言ってるとか、つまらないことで悩んでいるとか思われたくないし」と言う。つながり合って安心はしたいが、見せすぎて嫌われるのが怖い。そんな若者たちの複雑な本音が見えてくる。

本当の友達は、たとえ数年間会っていなくても友達のままだ。すべてを見せ合わなくても、信頼感があればそれだけで済む。SNSを使うと親しくなりやすいが、SNSだけでは友情は完結しない。直接悩みを話し合ったり、かっこ悪いところも見せ合ったりできる勇気も必要ではないだろうか。

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