東京には愚痴を吐き出せる場所がいっぱい
背景には、人間関係の希薄さがあった。急激な都市開発によって、地元のコミュニティと新住民(研究者たち)のあいだに溝が生じたことが、孤立しやすかった状況の一因とされている。また、生活環境の変化も背景にある。それまで住んでいた東京など都市部との環境の違いや、娯楽・交流施設の不足によるストレスも指摘された。
加えて、単身赴任と家庭の問題がある。多くの研究者が単身赴任や家族を伴う移住を行ったが、不慣れな土地での生活環境の変化が家族全体のメンタルヘルスに影響を与えた事例も見られた。そのような事情もあってか、20代から60代の男性、および高齢層で、自殺や抑鬱の割合が高いことが報告された。
研究学園都市のような、人工的に造った街には、東京でいえば新橋や新宿や浅草のような、いわば「一杯飲み屋」や「立ち飲み屋」が辻々にあるような地域がない。上記のような街には歴史が作り上げた辻々があるが、人工的に造った街には、それがない。
私はここに遠因があるように思えてならない。私は前著で、かつて東京都下のガード下などにある「立ち飲み屋」に寄るのを習慣にしていたと書いた。そこで聞くビジネスパーソンたちの話は、だいたいが上司や会社に対する悪口や不満だった。
自分から積極的に話しかける姿勢を持つ
でも、彼らは店を出るとき、さっぱりとした顔をしていたものだ。こうした場所が、研究学園都市には存在しなかったのではないか?
孤独・孤立対策として、政府は専用の対策推進室を設置し、自治体やNPO法人による見守り活動や、当事者同士がつながるためのサロンの運営などといった支援を進めている。孤独死を予防するためにも、紹介する具体策を実践してほしい。
こうした孤独死に陥らないためにも、定年後の日本人は、会社以外で新しい友人や人脈を作らなければならない。そのためには、能動的に行動を変容させることだ。そして仕事での肩書を捨て、地域や趣味に飛び込んでいくことが重要となる。
自分から積極的に、気さくに話しかける姿勢も大切だ。そして相手の話に共感し、自分ばかりが話さないように意識する。すると良好な関係を築きやすくなる。加えて、同性だけでなく異性の友人も持つことができれば、思考の幅や楽しみが広がる。
なお、「絶対に友だちを作らなければ」などという義務感を持たず、自分のペースで楽しむことも大切だ。まずは近所の公民館や市民センターのプログラムを確認してみることを勧めたい。具体的には、次のようなアプローチが効果的だ。

