日本のジュースやチョコが大人気
今年の春まで平壌に留学していた中国人のK氏(仮名)によると、北朝鮮でも日本製品は人気で、富裕層は日本の食品をよく購入しているという。
特に人気があるのは、日本のジュースやチョコレートなど。家電や家具などを買う人はあまり見ないが、ドンジュ(新興富裕層)などが、最近の都市開発で完成した党幹部や功労者の住むマンションにプレゼントとして贈り、便宜を図ってもらうための“挨拶”とすることはあるという。
「今の平壌は、日本製品の天国だ。中国の二線都市(中国の地方経済のランクに応じて分けられた格式。今では大連、哈爾浜、長春、紹興など20都市くらい)よりも日本製品の品揃えはいいだろう。西方国家(東西冷戦下における西側諸国、今では主に欧米圏のこと)のブランドのようなものも多くあり、平壌市民は中国人と同じような生活をしている」(K氏)
実際、それを裏付けるかのように平壌には多くの日本製品が売られているのはもちろん、日本にあるような「店そのもの」がいくつもあることが確認できた。
日本のようなショッピングモール
例えば、「楽浪愛国金剛館」と呼ばれる新興商業施設は、まさに日本のショッピングモールのようになっている。建物の内部にある各階表示によれば1階にスーパーと飲料店、1階と2階の両方に家具店、3階にビュッフェレストラン、4階は家電売り場、5階がレストラン街、6階はゲームセンター、7階と8階はフィットネスジムという配置になっている。
そして、このモールにもたくさんの日本製品がある。スーパーには大量の日本製品が並んでいて、目立つのはサンガリアの飲料。とても人気があるようだ。他にも日本製チョコレートなど、品質管理が困難な菓子類も販売されている。
さらに、このデパートにはもうひとつ特徴がある。家具コーナーには、特徴的な「サメ」のぬいぐるみ、北欧風の家具、開放的な店内、青と黄色の配色のカート……そう「IKEA」に似ているのだ。その奥には、日本の家電量販店のごとく、タカラスタンダードやクリナップのシステムキッチンが鎮座している。
コーヒーショップは、さながら「スターバックス」。韓国には「北朝鮮が見えるスタバ」があると聞くが、平壌には「北朝鮮スタバ」が開業しているというのはなんの因果だろう。しかし、本家と違ってロゴは「M」だ。この「M」の正体はなんだろうか。店内の商品を見ていると丁寧に詰められたコーヒー豆のパックラベルの上部に「MIRAI RESERVE」と書いてあるのを見つけた。「みらい」といえば、冒頭で紹介したカードの裏に書いてあった文字と一致する。
「みらい」とはなんなのか。実は在日コリアン社会では、「みらい」の朝鮮語である「ミレ」という名称を聞くことが多い。かつて総連傘下の銀行として活動し倒産した朝鮮銀行の後継の一つである「ミレ信用組合」が代表的だ。そのように考えれば、在日コリアンが北朝鮮で事業をするにあたって、彼らの中でスタンダードな名称である「ミレ」の日本語「みらい」をブランド名として用いていても不思議ではない。


