「前年比102%」vs「前年比102%アップ」

僕が参加した回の参加者は男性5人、女性2人の全7人。ざっと見渡すと30代から40代のミドルばかりだ。さまざまな企業でビジネス数学講座の講師を務める近藤恵介先生が説明する。

「ビジネスの現場で数字をきちんと取り扱えないと『残念なビジネスマン』になりかねません。ある大手企業の若手社員は『前年比102%の売上高』と報告すべきところ、『前年比102%アップの売上高』と間違えて報告していました。これが誰も気付かないまま通ったら、大きな判断ミスにつながります。この講座では、学校で学んだ数学をビジネスの現場で活かすことを意識してください」

学校数学は正解が用意されているのに対し、ビジネス数学に唯一の正解は存在しない。物事を多角的に見る習慣を身につけることが重要と近藤先生は言う。講座の最終目標は「数字を使ったコミュニケーション」ができるようになることだ。

授業は「5つのビジネス数学力」の各項目についてポイントを解説した後、例題に自力でチャレンジし、再び先生が詳しい解説を加える形で進んでいく。最終日にはグループワークを行い、各グループの代表者にプレゼンをしてもらう予定という。これはちょっと気が重い……。

例題はすべて実際のビジネスで数学を使う場面を題材としている。使用する数学の水準は中学レベルまでで、妙な計算記号が出てきたりはしない。その意味でのハードルはそれほど高くはないが、実際に問題を解いてみるとなかなか難しい。たとえば、こんな問題。

Qある自動車ディーラーではオプションのセット販売を検討するために、2010年に新車を購入した200人の顧客が、オプションとしてカーナビとカーオーディオを購入したかどうかを調べました。

  ・カーナビを購入した顧客:100人
  ・カーオーディオを購入した顧客:180人
  ・どちらも購入しなかった顧客:10人

このとき、カーナビを購入した人の何%がカーオーディオを購入しましたか。