早稲田卒、リクルート次長からの転身

松本博之はタクシードライバーになって14年になる。自宅は埼玉県の東浦和だが、勤務先と営業区域は東京だ。都立戸山高校から早稲田大学法学部を卒業。リクルートに入社し、住宅情報の営業職に就いた。その後、旅行事業部に移り、事業部が独立したリクルートインターナショナルという旅行会社に移り、次長となる。13年間、務めたのだが、リクルート事件のあと退職した。別に事件に関わっていたわけではない。映画が好きなんじゃないかと思って、映画の配給会社に転職した。しかし、入社後、よくよく考えてみれば映画にはほぼ興味がなかったことに気づく。そして、退職。次は何をしようかと思っていた時、新聞広告でハイヤー会社の求人募集を見つけ、応募した。

以後、松本の話である。

【松本】ハイヤーの求人募集を見たら、「月12日稼働、40万円保証」って書いてあった。これはいいじゃないかと思ったんだ。ところが、入ってみたら、そうでもなかった。ハイヤーって、泊まりがあるから月のうち12日がぜんぶ泊まりになることもある。そうすると、休みは月に6日しかない。そこまでいかなくてもタクシーは宿泊することはないんです。それに、ハイヤーって、お客さんの数は決まってるし、自分で営業するわけでもない。行き先もあらかじめ決まってる。安定はしているけれど、収入は伸びていかない。それでも18年間、乗ってたけどね。