「牛の尻尾」より「鶏の口」になれ

ジュン:……教授に関してはそうかもしれませんね。でも、一緒に学ぶ友達はどうですか? 周りが優秀かどうかって、すごく大事だと思うんです。周りが頑張ってたら自分も頑張ろうと思えるし。そういう子がいるのはやっぱり優秀な大学だと思うんです。「Fランでいいや」っていう感じで選ぶ子ばかりの大学だったら、流されちゃいませんか?

やんばる先生:……うん、そうだね。それはもう、めちゃくちゃ合ってると思う(笑)。優秀な大学に行く最大のメリットのひとつは間違いなく「優秀な人たちと勉強できる」ことだよね。

東大に入ることの価値は、同じ東大生の仲間ができること、それは事実だと思う。けどね、ジュン。鶏口牛後けいこうぎゅうごっていう言葉、授業で聞いたことない?

ジュン:聞いたことはありますけど、どんな意味でしたっけ?

やんばる先生:鶏口はニワトリの口、これは「小さな組織のリーダー」のたとえ。一方、牛後は牛の尻尾、こっちは「大きな組織の末端」のたとえ。「大きな組織の下っぱでいるよりも、小さな組織でもリーダーになる方がいい」といった意味で使われる表現だ。

ジュン東大に入っても、ビリじゃつらい思いをするかも……的な意味ですか?

やんばる先生:そう。先生がまさに高校のときそうだったんだけど、地域で一番偏差値が高い学校に行ったら周りが優秀すぎて「自分なんて頑張っても無理! 意味ねえや」って思って、一気にやる気が出なくなっちゃったんだよね。

黒板の背景に表彰台に立つビジネスピクトグラム
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そうやって周りの影響を受け「すぎて」いると、何かに熱狂できる力は身につかない。他人の価値観に引っ張られているからね。自分の価値観と向き合って、ひとりになって進む時間が、人生では必要なんだ。それが高校での失敗を通して、先生が学んだこと。

だから、ジュンが仮に「一歩低いと思う場所」に進んだとしても、周りと違って疎外感を抱いたとしても、得られるものに目を向けて、「鶏の口」を目指してほしいな。

最高にチャンスに満ちた環境になる

ジュン:……でも先生、それなら、大学の価値って結局何なんですか?

やんばる先生:教授や施設だって、大学の価値だよ。設備については、「Fラン」と言われる大学の方が進んでいる場合だってある。今、少子化で大学も学生の奪い合いになってるから、ユニークな教育をしている大学も増えてる。一概に、入るときの偏差値で価値は測れない

ジュン:……求めるところによっては、ってことか。でも先生、最終学歴って一生ついてまわりますよね。就職で「学歴フィルター」にかけられて希望の会社を受けることすらできないってことはあると思うんです。

やんばる先生:うん、あるね。新卒で大企業に入ろうとするとき、学歴フィルターで落とされることはある。

でもさ、今は終身雇用制度が消えつつある時代だよ。もしジュンが大企業に入りたいなら、新卒で厳しい競争を勝ち抜くんじゃなく、中途採用をねらった方が楽かもよ。

まずはベンチャーに入って、ゴリゴリに経験やスキルを身につける。そうしたらそれを武器に、中途採用をねらって希望の企業に潜りこむ! うん、全然あるんじゃない? なんなら、その頃には自分で起業しようとか思ってるかもしれないね。

ジュン:……新卒がすべてじゃない、と。

やんばる先生:そう。ただ、残念ながら、偏差値の高くない大学には高偏差値の大学に比べてやる気や継続力がない人が多いのは、残酷な事実ではある。

でも、もし「やる気があるのにたまたま入っちゃった人」がいるんだとしたら……。それって最高にチャンスに満ちた環境だと思わない? 鶏口牛後の理論で、就職の推薦枠を独占できるかもしれないしね。