自分の老いも他人の老いも素直に受け入れる

その思いは理解できます。でも、老いを受け入れようとしない高齢者による高齢者差別の構図には、やはり違和感を覚えます。歳をとるということは、いろいろな生き方が訪れることだと私は思っています。その「いろいろな生き方」には、車いすや寝たきりの生活、あるいは認知症になるということも含まれます。

ボケたくない、足腰を弱らせたくないと思い、そのためにできるだけ努力をすることは大事だと思います。でも、いざ認知症や歩行困難になったら、「なったなりに生きていく」という発想もまた必要です。その発想がもてないと、そこから先の人生は生きる価値がないという考えに行き着きます。それは、とても残念なことだと思います。

高齢者は、社会的には「弱者」ということになるでしょう。そして、人間は究極的には弱い生き物であるということを、素直に受け入れられるのが高齢者の特性だと私は思っています。自分の老いのみならず、他人の老いも受け入れられることが、「品格」と呼べるのではないかと思います。