原則[5]アイデアは検証し積み重ねる

【鈴木】セブン&アイグループの中でも全体の利益の8割はコンビニ事業から生まれています。それはセブン-イレブンが顧客ニーズの変化に対応し、新しいものを生み出し続けていることを物語っています。

ただ、1974年に東京・豊洲に誕生したセブン-イレブンの第1号店の店頭には、そろばんやどんぶり、はたきが並んでいたように、最初から今のコンビニの形が私の頭の中にあったわけではありません。40年間、たくさんのアイデアを検証し、積み重ねることによってつくり上げてきたものです。 その過程で一貫しているのは、新しいニーズを常に店の外に見つけ、取り込むことで発展を積み重ねてきたことです。

おにぎりや弁当もそうです。「家でつくるのが常識だから売れるわけがない」と反対されました。しかし、日本人の誰もが食べるものだからこそ、大きな潜在的需要が見込まれる。よい材料を使い、徹底的に味を追求して差別化すれば、必ず支持される。そう信じて反対論を説き伏せました。

公共料金などの収納代行サービスも、ATM(現金自動預払機)の金融サービスも、住民票の写しなどを受け取る行政サービスも店の外にあったニーズです。最近では創業時には排除した配達サービスも、少子高齢化に対応して取り組んでいます。10年後のコンビニは今とはかなり違った形態になっているかもしれません。新しいニーズはどこにあるか。アイデアの仮説を立て、失敗を恐れず挑戦し、結果を検証する。儲かる仕組みは、仮説と検証を積み重ねる中でつくられていくものです。

もちろん、仮説にはリスクがともないますが、変化の激しい時代には、むしろ今までどおりのことを続けているほうがかえってリスクが大きく、新しいことに挑戦することでリスクが回避されるという発想に切り替えるべきです。