原則[2]売れない原因からヒントをつかむ
【鈴木】2000年代にコンビニ業界は各チェーンとも既存店売上高の減少が続いた時期がありました。マスコミをはじめ、同業他社からも「市場飽和」を唱える声が聞かれました。しかし、これは市場を固定的にとらえる考え方です。ニーズは絶えず変化する。売り手側が新しい価値をレコメンド(推奨)し続ければ、市場は飽和しないと私は主張しました。
ビジネスがうまくいかないのは必ず原因があり、原因を追求すると新しい方向性が見えてきます。われわれはもう1度、市場の変化を見つめ直しました。総人口が減る一方で少子高齢化を背景に単身世帯は逆に増え、1世帯あたりの人数は減っていきます。女性の就業率も年々高まっています。スーパーまで行かなくても、近くのコンビニでほしい商品がほしい分量だけ手に入れば、そこで買い物をすませようと考えるのは自然の流れです。
そこで、着手したのが品揃えの大幅な見直しでした。特に力を入れたのが惣菜類です。セブンプレミアム・シリーズでも盛りつけるだけの少量パック・低価格のメニューや、温めるだけのメニューなどを順次投入しました。結果、コンビニは従来、男性客が中心でしたが女性客が増加し、既存店売上高は増加に転じました。各チェーンも同様の試みを始め、マスコミの論調も「コンビニ復活」へと変わりました。
売れないときは売れなくしている原因を探れば、売れるヒントが隠されている。
「市場が飽和してきたから仕方ない」と、何かのせいにしたら、そこですべては止まります。