AIは数カ月で進化する。iPhoneは何年止まっている?

ある異常な事実から始めたい。この3年間、生成AIは爆発的に進化した。OpenAIのGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGemini――主要モデルは「3年で世代交代」どころではなく、数カ月ごとに能力が更新され続けている。文章生成もコード生成も、画像・動画・音声の生成も、半年前には不可能だったことがいまは当たり前になっている。半導体基盤を支えるNVIDIAの売上は急拡大し、Metaのオープンソース戦略も加わって、AI開発の総力戦は止まる気配がない。

ではiPhoneは、何年変わっていないか。初代iPhone発売は2007年6月29日であり、それから18年がたった今も、ガラスの板を指で触り画面を見るというiPhoneの基本構造はまったく変わっていない。もちろん高性能化は進んだ。カメラは美しくなり、チップは速くなった。だが体験そのものの骨格は、18年前と同じである。私たちはいまも、下を向いている。

電車内でスマホを使用する人たち
写真=iStock.com/NanoStockk
※写真はイメージです

このギャップに、まず驚いてほしい。脳であるAIが数カ月単位でアップデートを続けているのに、その脳を載せる器であるiPhoneは18年同型のまま――人類の脳が爆発的に進化したのに、それを載せる身体が止まっているという異常事態が、いま静かに進行している。そしてこれは、単なる製品問題ではない。