中司祉岐さん

【中司】それは、本当に独立して会社を起こすことではなくて、自分1人で仕事を完結させることができるか考えてみたり、自分1人できちんと利益を出すことができるか検証してみたりする、ということでしょうか?

【俣野】そうですね。会社のリソース(資源)ってあるじゃないですか。実は自分自身もリソースなんです。企業の中で働いていると、ついこの事を忘れがちです。さらに言うなれば上司や、会社のブランドもリソースの1つです。それを総動員してベストパフォーマンスを出すのがサラリーマンの仕事であるはずですが、つい自分のことだけを考えがちになります。ところが、自分が独立して事業主となったら、全部のリソースをどうやって使っていくかという思考回路にスパっと切り替わるはずです。

【中司】自分の立ち位置に気づかないという人は、「独立していたとしても、自分の責任で利益を出そう」という気構えが低いとも言えますか?

【俣野】そうですね。他人に依存したり、誰かと誰かが肩を寄せ合っていたりする世界で生きている限りは、どうやってこの人を頼りにしよう、この人に甘えようという発想になりがちだと思います。ところが独立している人は、どうやって自分の足で歩いていこうと常に考えているので、そもそも見える視点も違います。今は時代が常に変化しているので、新しいチャンスがどんどん生まれてきます。そんな中で力を発揮して、いい仕事ができるのは「どうせ失うものはない」という考えの人たち。だから、今は何も持っていない人にとっては、成長していい仕事ができるチャンスでもあるんです。

【中司】戦後から高度成長期までは会社としてのパフォーマンスが求められていたのが、今はビジネスマン一人ひとりのパフォーマンスが求められる時代に完全に移行したと言えます。つまり新たな言葉をつくるなら「マンパフォーマンス」が求められています。