1.誰でも参加可「高尾山での滝行」
高尾山での滝行

高尾山の薬王院は初心者に滝修行を指導してくれる。毎月第1土曜日ほか、正午より(指導料3000円)。装束の貸し出しもある。必ず足から滝に入っていくなど、入滝(にゅうたき)には厳格な順序が。「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」(六根とは、目、耳、鼻、口、体、心。6つの感覚を清らかにする)と唱えながら滝に打たれる。滝の水圧は厳しいものの、水しぶきが清々しい。写真は左から石川隆氏(61歳)、初心者の須藤靖貴氏(48歳)、冨士道第一二世神道扶桑教の第六世管長・宍野史生氏、そして冨士講の生き字引である生沼邦彦氏(81歳)。正式な順序を踏む、という精神性が心地よい。

2.登山前、神さまに何を祈るか
登山前、神さまに何を祈るか

元祠の仙水で手と口を清めて(写真右上)、北口本宮冨士浅間神社(写真左)にお参り。ここからいよいよ登山だ。このとき、何を祈ればいいのか。道中の無事だろうか。「願い事はしない。ただ、手を合わせ、感謝の気持ちでいればいいでしょう」(宍野管長)。なんとか日々の生活ができて、ここに来られた幸せに感謝するだけで十分、決して不平をつぶやいてはいけない。それぞれの登山者が何を望んでいるのか神様はお見通しだから、改めて祈る必要はないのだという。「富士山の山ほど願うて、摺り鉢ほど叶う」と、多くの願いを託す人々の虫のよさを戒める諺もある。

3.江戸の香りを残す「御師」で宿泊
江戸の香りを残す「御師」

冨士講では必ず御師に泊まった。いわばベースキャンプ。江戸時代には富士山を熟知した強力(シェルパ)がいた。写真右上は博物館に隣接する模造復元住宅。玄関から神殿までが遠くに見える(天井が低く、襖が白い)工夫が施されている。現在、宿泊できる御師は数軒のみで、「筒屋」(写真左、写真右中央)はそのうちの1つ。室町時代から続く歴史的宿だが、堅苦しさは皆無。優しいスタッフが登山客を温かく迎えてくれる。1泊2食付きで6500円。