2013年、世界遺産に登録された富士山。古くから庶民に敬われた背景には、近代的な互助システムがあった!
なぜ、富士山は自然遺産でなかったか
――2013年6月に世界遺産に登録された富士山。日本人の誰もが心に秘める、高く美しい日本一の山だ。
現代人の多くは、「富士山が世界遺産になった」と言われると、「自然遺産」だと思ってしまうかもしれない。しかし、富士山は「自然遺産」としては国内の候補地としても入ることができなかった。富士山のような円錐形の独立峰の山は世界各地にあることと、活火山としての多様な形態を備えていないことなどが原因だ。そもそも標高3000メートル級の山に標高2000メートルまで自動車道があり、山頂には自動販売機まで完備する山を「自然遺産」と称するのは厳しかったのかもしれない。
今回の富士山の世界遺産登録は、日本人が守り育ててきた文化的、歴史的価値が評価されたものだった。
その富士山の持つ歴史的、文化的魅力について、富士山8合目の天拝宮を護り、昭和初期に至るまで興隆を誇った「冨士講」を伝える冨士道第一二世神道扶桑教の第六世管長・宍野史生さんにお話を伺った。
神道扶桑教管長 宍野史生さん
富士山は、6月22日にカンボジアのプノンペンで開催された第37回ユネスコ世界遺産委員会にて世界遺産への登録が決定されました。
富士山が世界遺産として登録されるために、「顕著な普遍的価値」があることが必要でした。そして、その価値があることを、日本は2つの証拠によって証明しました。
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