鮎はやけどしそうな塩焼きが一番
鮎はそのほか(編集部註:“鮎の洗い”のほか、現在では生食は寄生虫などのリスクが高いとされる)、岐阜の雑炊とか、加賀の葛の葉巻とか、竹の筒に入れて焼いて食うものもあるが、どれも本格の塩焼きのできない場合の方法であって、いわば原始的な食い方であり、いずれも優れた食い方ではあるが、必ずしも一番よい方法ではない。それをわざわざ東京で真似てよろこんでいるものもあるが、そういう人は、鮎をトリックで食う、いわゆる芝居食いに満足する輩ではなかろうか。
やはり、鮎は、ふつうの塩焼きにして、うっかり食うと火傷するような熱い奴を、ガブッとやるのが香ばしくて最上である。
江戸っ子が大金で買った「初がつお」
鎌倉を生きて出でけん初鰹 芭蕉
目には青葉山ほととぎすはつ鰹 素堂
初がつおが出だしたと聞いては、江戸っ子など、もう矢も楯もたまらずやりくり算段……、いや借金してまで、その生きのいいところをさっとおろして、なにはさておき、まず一杯という段取りに出ないではいられなかったらしく、未だに葉桜ごろの人の頭にピンと来るものがある。ところで初がつおというもの、いったいそんなにまで騒ぎたてられるゆえんはなにか。前掲の句の作者は元禄時代の人だから、その時代に江戸っ子が初がつおを珍重したのはうかがえるが、今日これは通用しない。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
プレジデントオンライン無料会員の4つの特典
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能



