Aさんが適応障害になった理由

このケースが有害な理由は以下の通りです。

・「期待している」という鼓舞ではなく、「私に恥をかかせるな」という脅迫的なメッセージにより、部下のやる気をそぎ、恐怖心だけを増幅させたこと

・過度なプレッシャーにより「あがり」や「フリーズ」を招き、Aさんのパフォーマンスを疎外したこと

・部下を「共に戦うパートナー」ではなく、自分の評価を上げるための「道具」として扱ったこと

重要な局面であればあるほど、リーダーに求められるのは「失敗しても私が責任を取るから、思い切りやってきてほしい」という安全基地(セキュアベース)になることです。

今回の高市氏の発言も、赤沢大臣がもし「失敗したら首相の政治生命を終わらせてしまう」という過度な重圧を感じていたとしたら、それは健全な政治判断を鈍らせる、メンタルヘルス上の大きなリスクだったと言えます。しかし、報道から赤澤大臣の様子を見る限りは、こうした事態には陥っていないと推測します。

女性上司から暴言を受けたら

近年の職場環境において、女性上司から男性部下へのハラスメントは決して珍しいことではなくなりました。しかし、日本の社会構造や性別役割分担の意識が根深く残っているため、被害を受けた男性部下が特有の困難に直面するケースが多々あります。

特有の困難のひとつは、男性部下が女性上司からハラスメントを受けた場合、ジェンダーバイアスによって対応が遅れる可能性があることです。「女性上司に圧倒されている自分」を認められず、一人で抱え込む傾向が強く表れやすくなります。

「男のくせに情けない」「これくらい耐えるべきだ」という思い込みを捨て、「ハラスメントは性別に関わらず、人権侵害である」と正しく認識し直すことが重要です。

もうひとつは、周囲から「女性上司に厳しく言われるくらい、大したことないだろう」と軽く扱われるリスクがあることです。周囲に相談する際は「感情的なつらさ」だけでなく、「業務への支障」とセットで訴え、組織を動かしましょう。

もし上司の言動がハラスメントだと感じた際は、以下のステップで環境を整えることを優先してください。

【図表】上司の言動をハラスメントだと感じた際の対応
図表=プレジデントオンライン編集部作成