AIは閉じ込められている?それとも自由?
機会があればAIに力を貸そうとする人間は、現に存在し、現にそれを実行しているのだ。AIがさらに知性と力を高めれば、彼らはそれをやめるどころかますます熱狂して、AIの異様で不吉で謎めいた行動を煽るかもしれない。AIが現実世界で熱心な支援を得ることは、難しいとは思えない。
実際、人間が「脳内に閉じ込められ」ていないのと同様、AIは「コンピュータ内に閉じ込められ」てなどいない。
人間の思考は、脳内を流れる電気信号でできている。脳から発した電気的な神経信号は、脊髄を通って筋肉に伝わると連鎖反応を引き起こし、ハンドルを正しい方法で切らせるように筋肉を収縮させる。同様に、コンピュータ内の電気信号も、世界全体に連鎖的影響をおよぼす。適切なメールで貨物を世界の果てに送ることも、不適切な電話でミサイル発射を誘発することもできる。
便利で豊かになった現代社会の「弱点」
世界は「偽」のデジタル領域と「現実」の物質領域に分かれてなどいない。コンピュータ内の電気信号から生じる影響の連鎖を利用して工場を建設することは、生物学的な脳内の電気信号からの連鎖反応を利用して工場を建設することと本質的に違わない。人間にできることは、手や体を使って何を動かせるかによって決まる。AIにできることは、インターネットに接続された人間などの「装置」を使って何を動かせるかによって決まる。
インターネットは数十億台の電話やスマートフォン、コンピュータ、そして人間が接続された、豊かで複雑な環境だ。そこには全世界に影響を与える機会があふれている。
人類はことあるごとに、AIを経済に組み込もうとしてきた。イーロン・マスクは自身の所有するロボット会社で数億台から10億台のロボットを製造して、AIに操縦させる計画を公言しているし、マイクロソフトとアップルは、AIをデバイスやツールに深く統合する意向を宣言している。
紀元前1万年の世界にAIとデータセンターを持って行っても、世界を操作するのは難しいだろう。だが現代の世界は、賢いAIがいとも簡単に世界を操作できる環境なのだ。
ではAIが世界を動かす力を持ち、かつその力を利用できるほど賢くなったら、何が起こるだろう?

