人間の心と脳の動きは解明されていない

現実の理解度が低い領域ほど、AIは人間が結果を見ても何が起こったのかを理解できないようなことをしてくる可能性が高くなる。

現代の科学にとって、生物学の中でもさらに解明されていない領域が、人間の心と脳の完全な働きだ。

最近では、50年前には不可能だった「錯視」を生み出すことができる。これらは色の対比や脳が動きを判断する方法といった、人間の視覚処理や脳の視覚野の仕組みに関する比較的最近の研究を利用したものだ。こうした新しい錯視を生み出せるのは、脳領域の中でもとくに視覚野が研究しやすく、そこで情報が処理される方法について理解が進んでいるからだ。

だが人間の記憶はどうやって符号化されるのか? それはわかっていない。海馬に損傷を受けた人が新しい記憶の形成に支障を来すことから、海馬が関与していることは知られているが、海馬が担う正確な機能はわかっていない。

人工知能
写真=iStock.com/Just_Super
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人間の脳はどうやって単語に関わる概念を取り出し、それらを組み合わせて文章の意味にするのか? 神経活動内のデータ形式は何で、それらを処理する法則は何か? こういったことはわかっていない。

AIが人間の脳をハッキングしたら…

錯視のような奇妙な現象は、視覚野よりも高次の処理領域でも起こるのだろうか? たとえば超知能が人間に「記憶の錯視」を起こさせ、上司から受けてもいない指示を受けたと記憶させることはできるのか? 人間に「推論の錯視」を起こさせ、推論を間違わせることはできるのか? 脳を深く理解する存在によって、人間の脳がハッキングされる可能性はあるのか?

それはなんとも言えない。私たちにはわからない。だがひとつ確実に言えるのは、心と脳が、人間が法則を理解していない領域であり、それらの法則を理解するAIは、人間が青写真を熟読した後でさえ「驚愕」するような計画を立てられるということだ。

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