医師の“劣悪な労働環境”が放置されている

また、当初は「かっこいい外科医になりたい」「救急で人命救助のためにバリバリ働きたい」と思っていたものの、いざ就職を考える段階で現場の実情が見えてくると、想像以上の劣悪な労働環境に直面し、体力面や健康面への不安から路線変更を余儀なくされたケースや2年間の病院勤務の結果、訴訟リスクの高さや理不尽なクレーム対応に疲弊し、もっと患者と良好な関係を築ける医療がしたいと考えて美容医療を選んだ医師もいるかもしれません。

疲れ切って座り込む医者を励ます看護師
写真=iStock.com/Ivan-balvan
※写真はイメージです

さらに、女性医師の場合、出産や育児との両立を考えた時、夜間当直や緊急呼び出しのない美容クリニックを選ばざるを得ないという事情もあるでしょう。あるいは、親の介護が必要になった、自分自身が持病を抱えているなど、ライフステージや健康上の理由で、過酷な勤務が物理的に不可能になったケースもあります。

私が医師免許を取得し、就職先を選ぶ立場にあった1999年当時、美容クリニックは今ほど一般的ではなく、そもそも選択肢として認識されていませんでした。また、職場環境などの情報は、インターネットがなかったため、先輩から聞く主観的な話に頼るしかありませんでした。しかし当然ながら、自分の職場に来てもらいたいと思っている人が「うちの職場はひどいよ」などと、来てもらえなくなるようなことを言うはずがありません。