ライフプランをもとに家計の優先順位を整理

つまりこのケースでは、金融資産そのものは十分にありましたが、住宅資金、教育資金、当面の生活防衛資金といった目的別の整理が十分ではなく、どの資金を何のために残すのかが見えにくい状態でした。だからこそ、資産を「増やすこと」だけでなく、「使う目的ごとに整えること」が、このご家庭にとって重要なテーマだったのです。

そこでまずはご夫婦の希望や不安を整理し、出産、住宅購入、働き方の変化といった将来の出来事を織り込んだライフプランを作成しました。

その上で、どのタイミングで家計に変化が起こりやすいのか、いまある資産をどう位置付けると判断しやすくなるのかを確認しながら、家計全体の優先順位を整理していきました。

① 住宅購入の目安をライフプランから確認する

住宅購入については、「いくらまで借りられるか」ではなく、「購入後も無理なく暮らしを続けられるか」という視点から整理しました。

家の模型と電卓
写真=iStock.com/tuahlensa
※写真はイメージです

出産後の働き方や教育費、今後の積立余力も含めて確認していくと、このご家庭では住居関連費を月15万円前後に収められるかどうかが、ひとつの目安になることが見えてきました。

その前提で、当時の金利水準や返済期間などを踏まえて試算すると、購入価格は5000万円前後が現実的な水準として整理できました。

もちろん、住宅は価格だけで決められるものではありません。希望するエリアや広さ、住環境を優先すれば、予算を上げる選択も十分に考えられます。その場合に家計へどのような影響が出るのか、反対に予算を抑えた場合にどのような余裕が生まれるのかを見比べながら、判断しやすい形にしていきました。

また、住宅購入時には、物件価格だけでなく、諸費用や購入後の生活予備資金まで含めて自己資金の配分を考える必要があります。頭金を多く入れれば借入額や利息負担を抑えられる一方で、住宅ローンはほかの借入と比べると、長期間にわたって低い金利で借りやすく、住宅ローン控除や団体信用生命保険といった制度面のメリットもあります。

そのため、自己資金をどこまで頭金に入れるかは、借入額だけでなく、その後の暮らしも踏まえて考える必要があります。特に結婚、出産、住宅購入と大きなライフイベントが続く時期は、手元資金の余裕がその後の安心感を左右します。このご家庭でも、住宅購入時に必要となる諸費用を前提にしながら、頭金をどこまで入れるか、また購入後に備えてどの程度の現金を手元に残すかを、借入負担とのバランスを見ながら整理しました。