野菜・果物は子どもの成績に関係

脳の話が出ると、親御さんが気になるのはお子さんへの影響でしょう。野菜・果物の摂取量と学業成績の関連を示す研究が、いくつかの国から発表されています。

ノルウェーで15〜17歳の2432人を調べた研究では、果物・ベリーを1日1回以上食べていた生徒は、学業成績の高いグループに入る可能性(オッズ比)が高い傾向にあり、女子で2.09倍、男子で1.47倍でした(https://link.springer.com/article/10.1186/1471-2458-14-829)

また、カナダ全国調査(6年生〜高校3年生、4万7203人)では、そもそも果物・野菜の推奨量を満たしていたのは全体の約10%にすぎませんでした。そして「ほぼ優等」評価の生徒を基準にすると、成績が下がるほど野菜・果物を食べている割合が落ち、成績不良層では推奨量を満たす生徒が約半分となっていました(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/josh.12359)

ただし「野菜を食べれば成績が上がる」という単純な話ではありません。当然ながら、学業成績は、睡眠・家庭環境・運動・朝食など多くの要素で動きます。少なくとも言えそうなのは、「野菜・果物をよく食べている子どもは、成績が高い傾向があり、それは食事を含む生活全体の質が整った環境と重なっている可能性が高い」ということ。子供達の脳の働きの土台が、日々の健康な食卓にあると考えてもよいでしょう。

果物の盛り合わせ
写真=iStock.com/aluxum
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果物をよく食べるとうつ病リスク「3分の1」

成績だけでなく、「気分」との関係でも見逃せないデータがあります。国立精神・神経医療研究センターなどの研究では、長野県在住の40〜69歳の日本人1204人を長期追跡し、うつ病発症との関連を調べました。果物を最もよく食べるグループは、最も食べないグループに比べてうつ病のリスクが約3分の1。リンゴ・梨・柑橘類・ブドウ・イチゴなどフラボノイドを多く含む果物に絞った分析でも、半分未満のリスクに減少しましたhttps://www.nature.com/articles/s41398-022-02166-8

つまり、果物をよく食べる人は食べない人に比べて、うつ病にかかる確率が「3分の1」程度に抑えられているという数字です。果物に含まれる抗酸化物質が脳内の炎症を抑え、神経を守る働きをもつことは実験レベルでも確認されています。「気持ちが沈みがち」「気力がわかない」という状態と食卓は、思いのほか近い場所にあるのかもしれません。

なお、果汁ジュースや野菜ジュースを多く飲む人では、この恩恵は確認されないどころか、むしろ、うつ病リスクが上昇するという2024年の研究結果もありますhttps://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(24)00123-7/abstract。コンビニで野菜ジュースを買って「これで野菜の代わりになる」とは、少なくとも研究データからは言いにくいようです。