「赤字は罪悪、未達は悪」絶対君主の共通点

マンガに登場する帝国重工の中興の祖・田中重光社長と、ニデックの永守会長。二人の絶対的リーダーには、恐ろしいほどの共通点があります。

①「絶対的業績」への異様な執着
田中社長(マンガ):「帝国重工はどんな不況でも揺るがん。景気がどうなろうと我々は勝ち続ける」

一方のニデックでも、「赤字は悪」という強烈な思想がありました。報告書には、永守会長が幹部に送ったメールが残されています。

永守会長(現実):「赤字は罪悪、事業計画未達は悪、規則違反は犯罪である。今こそ心してほしい」(報告書 p.38)

ニデックでは、投資家向けの公表値よりもあえて高い「非現実的な社内目標」がトップダウンで割り振られ、それが「必達」とされていました。

② 人事権をチラつかせた恐怖支配
田中社長(マンガ):「数字などどうとでもなる。我々の技術力とブランドがある限り銀行は金を出すさ」

一方の現実でも、逆らえば会社にいられなくなるという恐怖が幹部を支配していました。

永守会長(現実):「今の実績のままでは役員退任か降格人事がまっていることを自覚認識してQ3結果を注視している」(報告書p.96)、「やる気に[原文ママ]ない幹部は、一日も早く日本電産グループを去って貰いたいと思う」(報告書p.36)

実際にニデックでは、業績悪化を理由に多くの幹部が降格や退場を余儀なくされていました。

「S級戦犯」は幹部から子会社に出た言葉だった

ここで注目すべきは、ネット上でも話題になった「お前はS級戦犯だ」という苛烈な罵倒です。実はこの言葉、永守会長自身の口から出たものではありません。

会長から自らのクビを懸けた極限のプレッシャーを受けた「幹部(グループ会社担当執行役員など)」が、深夜まで続く会議で、業績未達の子会社幹部に対して浴びせた言葉でした。

トップからの重圧が滝のように下へと流れ落ち、下流に行くほど過激な暴力性を帯びていく。この「抑圧移譲の連鎖」こそが、組織を崩壊させる最大の要因です。