目の前の相手にひたむきに、誠実に

クレームを言ってきたり、怒りをあらわにする人の中には、その人の中に、大きな悲しみを抱えている方もいます。やり場のない悲しみや不安が、怒りとなって表に出てしまうことも少なくありません。

「恐れを抱いた心では、なんと小さいことしかできないことでしょう」
「私が成功したのは、決して弁解したり、弁解を受け入れたりしなかったからです」

ナイチンゲールのこの言葉は、今も私の心に残っています。

私は看護師ではありませんが、怒りや深い悲しみを抱えた人と接するとき、腫れ物に触るように距離を取ったり、怖くなって逃げ出したりするのではなく、信念を持って向き合いたいと思っています。弁解や言い訳をせず、目の前の相手に、ひたむきに、誠実に向き合いたい。そんなことを、私は大切にしてきたように思います。

患者の手を握る薬剤師
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
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もちろん、これは薬剤師に限りませんね。あらゆるご職業の方々、そして、仕事を持っていようがいまいが、すべての人に大切なことだと思います。

誰かの怒りに向き合うということは、大変に骨の折れることです。怒りに向き合うというのは、その奥にある思いに、そっと耳を傾けようとする姿勢なのだと思います。

勇気を出して向き合ったときにこそ、相手の中にある本当の声が聞こえてくることがあります。信念ある誠実な言葉は、相手の心を動かします。

心の不調でからだも病んでしまう

毎日お客様とお話しをして、お薬を手渡してきた私が思うこと。それは、「病は気から」という言葉は本当かもしれないな、ということです。

誰の人生にも、落ち込んでしまうような出来事は起こります。心が押しつぶされそうになる瞬間もあります。けれども、その出来事をいつまでも気に病み続けていると、今度は心だけでなく、からだまで病んでしまうことがあります。

多くの人が、自分の過去や今の状態を責めています。

その積み重ねが、不眠になったり、胃腸の調子を崩したりと、病気を呼び込んでいる面もあるのではないでしょうか。

「責める」ことは、毒にしかなりません。

自分を責めることも、誰かを責めることも同じです。

誰かへの怒りを持ち続けていると、なぜか頭痛が起きやすくなったり、胃が痛くなったりすることもあります。