人口の8%が「市民金」受給者

21年12月に社民党政権が成立したが、当時、彼らが自信満々で整備したのが市民金制度だ。

これは、収入のない人や、少ない人、あるいは単に働いていない人など、お金のない人なら誰でも貰えるいわゆるベーシックインカムで、23年1月から施行された。その市民金の受給者が、24年には550万人に膨れ、すでに人口の8%。そして、その約半分が外国人だ。

市民金受給者の医療保険料は国が肩代わりし、一人につき一定額を保険会社に支払っているが、問題はそれが圧倒的に足りず、医療費をカバーできていないこと。今や彼らの医療費の3分の2が保険会社の持ち出しとなっているといい、その額が年間100億ユーロ。これでは保険会社はやっていられない。

ただ、病院は病院で、多くの患者が来ても、保険診療をしている限り、忙しいばかりで利は薄い。しかも、高騰した人件費や光熱費で採算が合わなくなってしまったケースが増えており、24年には、24〜28の病院が破産手続きに入ったという。要するに、あちらもこちらもヒビが入っている。

「歯科治療は保険から外してはどうか」

ドイツでは、市民金の受給者だけでなく、誰でも贅沢さえ言わなければ医療は全て無料だ。手術も入院も無料だし、また、妊娠中の検診から出産も全て無料だし(出産は医療ではないが、医療保険でカバーされている)、子供(18歳まで)の検診も法定の予防接種も無料。

歯の模型と、計算をする人
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2015年に大量の難民が入り、ドイツの出産率が上がったことは、それはそれで結構だ。ただ、実際問題として、保険料を払ったこともなく、今も払っていない大勢の人たちが、この10年以上、病院に詰めかけていたわけで、その経済的弊害が今、覆い隠せなくなっている。

そして、これが保険料を押し上げ、最終的には国民の負担となる。

最近、歯科の治療は全て保険診療から外してはどうかという案が一部の政治家から出て、すぐに消えたが、これはおそらく警告の一つだろう。

虫歯になるかどうかは、子供の時からの衛生が物を言う。歯磨きを怠っていた人たちが歯医者に押し寄せれば、これまでの制度に無理がかかることは、誰にでもわかる。

ただ、ドイツ政府は人手不足や多文化共生を理由に、今も移民政策を推進しており、「外国人は医療保険の重荷になっているのではなく、医療保険の加盟者を増やしてくれる」と主張する。

ただ、問題は加盟者の数ではなく、どれだけの加盟者が保険料を支払っているかということだ。