納品書は注文のままの順番に

八潮の通販センターでは、出力された注文をパート従業員がピックアップして箱詰めしていく。添付される納品書では顧客が注文した順番に並べ替えられている。

 【辻本氏】よく覚えています。ニューヨークの貿易センタービルがテロに遭ったあの年、ウチの倉庫でネット通販を始めたんです。周囲からは大反対されましたが、地方から購入するお客さんがけっこういたので、地方の方にも簡単に買ってもらい、配送する仕組みをつくろうとスタートしました。同時テロのあの日、確か1日の閲覧数が600件くらいだったかな。そのうちの注文件数は10件~20件。これぐらいは見てもらえるし、買ってくれるんだなと思いましたね。

最初はたいして売れなかったので、パートの奥さんに来てもらってピッキングしてもらって配送しました。いまのやり方の小さいバージョンです。ところが、そのうちに注文件数が1日に500件ぐらいまで増えてしまった。一度、1000件弱の注文が入ったこともあって、もうてんやわんや。身動きが取れなくなって、つくばエクスプレスで秋葉原にも出やすい埼玉県八潮市に移ったんです。ところがここも手一杯になってしまったので、また新しくつくります。いまの通販センターと合わせると、2000件までの注文なら確実に処理できるでしょう。

現在、秋月電子のホームページには1日延べ5万~6万人が訪れる。注文件数は1日平均700~800件。多いときで1000件。客単価は1万円弱。ネット通販はいまや売り上げの8割を占める同社最大のチャネルだ。そのチャネルがどのようにして営まれているのか、八潮の通販センターを見学させてもらった。

客がホームページに注文を入れると、店のレイアウトの順番に商品が並び替えられた注文書が発行される。客は買った順に商品を見たいので、発送する商品に付ける納品書は注文のままの順番だ。通販センターのスタッフは作業用の注文書をもとに一定方向に棚を回り、効率よく商品をピックアップしていく。パート従業員でもわかるように、棚には商品の写真付きだ。これなら、後ろから別のスタッフが追いかけてピッキングしても混乱はない。