将来は医学部に行かせたいけれど、でもまだ小学生だから……。
いえいえ、準備に早すぎるということはありません。今のうちにやるべきことがあるのです。
医学部受験指導の“神様”による特別レクチャー。「読解力」について解説します。

卒業までに新聞の社説を読めるようになろう

計算力と並んで重要なのが読解力です。医学部志望なのに読解力が大事というのは意外に思われるかもしれません。しかし今の子供を取り巻く環境は、親の時代とは様変わりし、文章に触れる機会が格段に少なくなっています。

そのため子供たちの読解力の低下は著しく、結果として物理や数学の文章題を読みこなせなかったり、解答の解説文が理解できずに正解への過程がわからなかったりする事態がたびたび起こっています。

語学のみならず、すべての学問は読解力があるからこそ伸びていくものなのです。

実際に、ある小学校で調査を行ってみたところ、読解力と各教科の成績はきれいに正比例していたそうです。「読解力はないが算数はできる」などという子はいないのですね。

もっとも、大事だからといって、読解力とされる能力をまんべんなく鍛えろというのではありません。

医学部を志望する子の場合は、理数系科目の理解に必要な「論理的読解力」にたけていることが大事ですから、物語や詩の理解を問う「心情読解」は後回しで構わないでしょう。

さてその論理的読解力ですが、論説文、つまり初めに問題提起や現状説明がなされ、論理展開を経て結論へと導かれる構成の文章を、繰り返し読むことで訓練できます。

小学校の高学年であれば新聞、とくに社説がよい題材になります。

一般紙が難しければ、小学生新聞でかまいません。6年生の終わりまでに社説程度の長さ、つまり1400字前後の論説文を読んで内容をきちんと理解し、論理展開の因果関係を把握しながら要約できるようになるのを目標にしましょう。