銀行支店長が粉飾決算を見破った理由
ある銀行の支店長が、融資をするかどうかの見きわめのため、A社にやってきました。A社社長は社員に自社の決算書を持ってこさせ、それをぱらぱらとめくったのち、支店長に手渡します。すると、支店長は決算書も見ず、「融資はしません」と帰ってしまいました――。
なぜか、じつは渡されたのは粉飾された決算書だったのです。A社はしばらくして倒産。なぜ支店長はそれを見抜くことができたのでしょうか。この解答は最後にお教えしましょう。
2008年から企業倒産は顕著に増え始め、最近は負債100億円以上の企業や上場企業など大型倒産が相次いでおり、今後もこの流れは続きそうです。では、問題ある企業を見抜くために、注意すべき点はどこか。カギになるのは「決算書」「業種・地域」「担当営業マンの情報」です。
まずは決算書。チェックポイントは3つです。1つ目は、決算書に監査法人の監査意見が書かれているかどうか。また、監査法人を変更し、大手から中堅以下に落とした形跡がある会社も要注意。大手ほど監査は厳しいからです。また、コンプライアンス違反のある会社は、発覚したら即座につぶれるものと考えておいてください。ネットの掲示板やアングラサイトに名前がよく出てくる企業は、用心するに越したことはありません。
次はキャッシュフロー(CF)計算書です。注意すべきは、営業CFが赤字なのに財務CFや投資CFが黒字というパターン。これは手元に現金がないということで、資金調達ができなくなり突然死する可能性が高まっている状態です。