「話しかけやすい距離」にしただけ

3カ月後には、部下との衝突が減り、職場の空気が柔らかくなりました。

本人は「自分が変わったわけではなく、話しかけやすい距離になっただけ」と話していました。それまで彼は、「部下との関係がうまくいかないのは、自分の指導力不足だ」と思い込み、さらに部下に厳しくしようとしていました。その結果、完全に負のスパイラルに陥っていたのです。

しかし「環境が人を変える」ことに気づいてから、会議の座席配置、オフィスのレイアウト、コミュニケーションの取り方を見直し始めました。やがて離職率が下がり、意見交換が活発な社風へと変わっていきました。

最も大きな変化は、彼の“マインド”でした。「努力や根性」から「環境を整える」へ。この気づきは、家庭、趣味、人間関係など、人生のさまざまな場面に広がっていきました。

「椅子ひとつ、位置ひとつでこんなに変わるなんて。これまで、どれだけムダな努力をしてきたんだろう。もっと早く知りたかった」そう言ってくれました。

会話が減ってギクシャクしている40代夫婦

【座る位置と向きを変えただけで夫婦仲がよくなった(40代夫婦)】

40代前半のご夫婦と、妻の母の3人家族からいただいたご相談は、「ダイニングの椅子が大きくて邪魔だから、買い替えたい」というものでした。ところが、間取りを拝見して、ご家族が得たい感情をうかがうと、本当の問題は椅子では解決しないことがわかりました。

家でテレビを見ている青年
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです

リビングを見ると、その確信はさらに強まりました。夫はテレビ前のソファで一人で過ごし、その周りは夫のもので散らかり、「俺のリビング」と“なわばり化”していました。

一方、妻と妻の母は、ソファの後ろのダイニングに並び、夫の背を見ながら座っていました。夫はテレビに向かい、妻たちはその背後にいて、夫婦が顔を合わせない配置です。この配置では夫は疎外感を感じていました。

一方、妻も夫に背を向けられていて、寂しさを募らせ、喧嘩が増えていました。

つまり、テレビ、ソファ、ダイニングの配置が、会話を減らし、不満と衝突を生んでいたのです。

そこで、テレビ、ソファ、ダイニングの位置と向きを変えました。目指したのは「会話が自然に弾む配置」です。