首都圏ではM&Aでシェアを拡大してきた

そのため、イオンはM&Aによってシェアを確保するという戦略を推し進めてきた。それまでに様々な経緯から、イオンは各地のスーパーと資本提携を進めてきたが、首都圏ではそうしたスーパーを経営統合することで、USMHという子会社を組成、ここを軸としてシェアを確立する作戦をとった。2014年、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東を統合してUSMHをつくり、2024年には、いなげやも加わって売上約8000億円のイオン系スーパーができていた。

そして、2025年末、イオンは首都圏のスーパー事業を、USMHを軸に再編成することを発表した。(詳細はイオン、プレスリリースご参照)関東のダイエーやピーコックストアをUSMHの下で経営統合し、1兆2000億円クラスのスーパーとして首都圏におけるトップシェアを確立することになる。

「実はあまり伸びていない」という現実

いなげやが加わった時点で、ほぼ1兆円規模への到達が見込まれ、かつての首都圏トップシェア、イトーヨーカ堂も昨年の大規模店舗閉鎖で大きく減らした今、イオンのトップシェアは既に揺るがないとみられていた。そこで更にグループ内再編を実施するというのだから、トップの確立、というだけではない事情があるだろう。

イオンの首都圏売上は、連結企業が増えたため大きくはなっているが、各社の売上を過去と比べても、実はあまり伸びていない≒競争で勝っているわけではない。つまり、統合後のシェア競争では競合他社に負けている、という厳しい現実がある、ということである。

図表1、図表2は首都圏における主要スーパーの営業収益(もしくは売上高)の2018年と2024年とを比較してどのくらい増減しているかを示したものだ。最近時の首都圏スーパーの競争力を反映していると言っていいだろう。これを見てわかるのは、USMHとしての数字は1170億円伸ばしているが、これはいなげやが加わった分であって、実際にはマルエツ+264億円、カスミ+34億円、マックスバリュ関東+10億円、合計は308億円となる。

それに対して、上位のライバルである、ヤオコー、オーケーは+3000億円、ベルクは+1600億円、伸ばしているのと比べると、だいぶ差がある。それに次ぐのがライフ、サミットの+約700億円、マミーマートが500億円といったところになるが、それでもUSMHを上回る。イオン勢で好調なのは小型スーパーまいばすけっとで、小さな店を大量出店することで1367億円も伸ばしたのだが、USMHはそれに比べるとかなり低調だというしかない。つまりは、てこ入れが必要だった、ということになる。

【図表1】関東地方の主要スーパー 営業収益増加額
【図表2】首都圏スーパー売上増減