Q.ゴールデンウイークや夏の行楽シーズンともなると毎回必ず起きるのが高速道路の渋滞だ。案内板に「渋滞20キロメートル」などと表示されているのを見ると、誰でもうんざりしてしまう。そこで近くのインターチェンジから下りて、一般道路を走ろうとする人が出てくる。しかし、交差点や橋などでの渋滞に巻き込まれ、後から考えてみるとそのまま高速道路を走っていたほうが早く目的地に着けたことが意外と少なくない。そうした「渋滞20キロメートル」といった数字に何かトリックが隠されているものなのか。
人間は知らず知らずのうちに、それまで頭のなかにインプットされていた情報に頼ってしまうことが多い。玄関の鍵をドアに差したままであるのにもかかわらず、「なくしてしまった」と思い込み、つい慌ててしまったという経験はないだろうか。そうしたときは、頭のなかの「鍵がドアに差しっぱなしになっているはずはない」という固定観念に引きずられているものなのだ。
そのような固定観念のことを行動経済学では「アンカーリング」という。アンカーは船の「錨」を意味し、潜在的に意識のなかに刷り込まれていた情報が錨のように重石となって思考や判断を束縛してしまうものと考える。高速道路の「渋滞20キロメートル」という表示を見たとたん、深く考えずに一般道路に下りてしまうのも、「一般道路は混雑していない」という経験則に基づく固定観念がアンカーとして働いているのだ。
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