Q.Eさん(52歳)は妻(50歳)と子ども2人の4人家族だが、すでに長女は独立してひとり暮らしをしている。長男は同居中だが、大学2年生なので、教育費の負担は、あと2年ほどで終了する。その後は多少の余力ができるので、60歳で定年を迎えるまでに、できるだけ老後資金を積み上げたいと考えている。手始めに、近々満期になる養老保険100万円を定期預金よりは、多少有利に増やしたい。
【運用資金】1100万円【保有資産】1100万円(定期預金)【住居】持ち家
【老後生活費】月27万円【公的年金見込み額】月20万円(夫婦合計)
【家族構成】[夫]52歳 会社員 年収700万円(額面)[妻]妻50歳 パート 年収100万円
[長女]23歳(独立)[長男]21歳

老後生活で不足する金額を把握する

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資産運用

50代になれば、定年退職後に公的年金からどの程度の給付が得られるのか、ある程度正確に知ることができる。全国の年金事務所で確認できるほか、日本年金機構から毎年送付されてくる「ねんきん定期便」にも見込み額が記載されている。その額を基に、実際の老後生活で、どの程度の資金が不足するのかをまず確認しよう。

Eさんの場合、公的年金の受給見込み額は、夫婦合計で月20万円。一方で、Eさんが考える老後の必要生活費は月27万円。毎月、7万円の赤字が出る計算だ。これを貯蓄から取り崩していくと、10年で1000万円が必要となる。

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保険

とはいえ30代、40代と比べれば運用期間が短くなるし、Eさん自身も預貯金よりは利回りがいいくらいの商品を望んでいるので、安定運用が基本となる。結果、国内債券ファンドなどでの運用がベースとなるが、多少の利回り上昇を狙うのであれば、社債を組み入れたファンドを利用する手もある。

生命保険は、収入保障保険と変額終身保険の組み合わせが理想だが、50代で新規に加入するとなると、保険料も高くなるので、必要な額を共済などで確保するのもいい。とくに勤務先の労働組合が全労済の団体生命共済を扱っている場合には検討の価値がある。

●100万円を預金より有利に増やしたい

[資産運用]保険金の100万円だけでなく、保有資産1100万円として、トータルで運用を考えるべき。安定運用を基本に考えた場合、MMFや個人向け国債が候補となる。個人向け国債は、今後の金利上昇を見込むとすれば、10年変動タイプがおすすめ。ただし、これだけでは得られる利回りに限界があるので、国債よりも金利の高い社債を組み入れた短期債券ファンドでリターンアップを狙うのもいい。

[保険]子どもの教育費もほぼクリアしているので、生命保険は収入保障保険500万~1000万円と、変額終身保険300万~500万円で十分。医療保険は終身医療保険で入院日額5000~1万円を確保しよう。これから新規で加入するなら、保険料が割安な共済も検討してみるといい。

【POINT】一時払い終身保険は運用に使えるか?/中高年層を中心に人気があるのが一時払い終身保険。とくに銀行の窓口で加入する人が多い。この保険は保険料を一括払いして加入する終身保険で、生命保険として利用しながら、老後資金などが足りなくなれば、解約して払い戻し金を使うこともできる。解約時期にもよるが、払い戻し金は定期預金よりも高利回りであることが多く、貯蓄性は高い。