誰にも負けたくないから、誰の弟子にもならない
ある日、いつものように「久兵衛」のカウンターでお客さんと話しながら、なんの気なしに目の前にいた職人を見た。
その瞬間、ハッとした。自分と同じぐらいの年齢でつけ場に立っているその職人は、端正な鮨を握っていた。その鮨を口にしたあるお客さんは目をつむって唸り、あるお客さんは感嘆の声をあげた。その様子を見て、顔面に氷水を浴びせられたような気がした。
「この場の主役は、この職人なんだ……」
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