始まりはだいたいスモールトーク
スモールトークは、さまざまな場面で役に立つと思います。
さほど親しくないご近所の人。子どもの学校関係で、よく顔を合わせる人。接点が少ない他部署の人。たまたま一緒になった“近くて遠い距離の相手”に対して、「何か話をしなきゃいけない」と思うと構えてしまう人もいるようです。
そんなときは、「今、このひとときを快適に」を合言葉に、ぜひスモールトークをお試しください。内容はお天気や食べ物などで大丈夫。身構える必要はありません。たったそれだけですが、お互いなごやかになります。
私は性分として誰とでも仲よくなるほうですが、だいたい始まりはスモールトークです。成田にある、行きつけの日帰り温泉施設の清掃員さん。24歳の美容師さん。常宿のレストランスタッフの女性。よくランチを食べに行く、近所の中華料理店のご主人。ポリフェノールたっぷりの、ボルドー色の人参を作っている有機農法の農家さん。
年齢、性別、職業は見事なまでにバラバラですが、他愛もないスモールトークをちょこちょこ交わすうちに、なんとなくいい関係になっています。
いいことを話さなきゃ、と構えない気安さでまずは天気や世間話から。
にこやかさを添えたひと言で誰とでもなごやかに。
その人の「すてき」を見つけて声をかける
お客様が暇つぶしに雑談をしたいのか、それともじゃまをしてほしくないのかは、よく見ていればわかります。ヘッドフォンをつけていたら話しかけないほうがいいし、最近ではWi-Fiをつないでお仕事をしている方も少なからずいます。
逆に少し退屈で、何か話したいなというお客様は、映画もごらんにならず、お休みにもならず、なんとなくきょろきょろしていらっしゃることが多いものです。
そんなときはお飲み物をおすすめしたり、お声がけしたりしていました。
いずれにせよ、大切なのは、相手をよく見ることです。よく見ていれば、相手の求めることがわかってきますし、その人の「すてき」が必ず見つかります。
あるときのソウル便のお客様は、とても魅力的な年配のご婦人でした。2000年代初めの韓流ブームの頃、韓国に行く女性のお客様に多くご利用いただきましたが、その方にはひときわ目を引かれました。真っ白な髪はふんわりと手入れされていて、首元のスカーフの色と絶妙な取り合わせなのです。
「御髪とスカーフがぴったりですね。とてもお似合いです」
思わずそうお伝えしたところ、飛行機を降りる際に「さっきはありがとう。これ、お礼よ」と、何かやわらかいものを手渡されました。見れば、マーガレットのような白い花のモチーフをつなげたレース編みのしおりです。2時間もないフライト中、器用に作ってくださったものでした。手づくりのあたたかさとかわいらしさがあり、今も大切にしています。

