政治家・官僚を冷笑し、不景気に溜息をつく──。今、そんな諦めの境地に、経営者が甘んじていてよいはずがない。「責任はすべて経営者にあり」と断じる田原総一朗氏の真意は?

経済成長の昭和が終わり、バブル崩壊とともに平成を迎え、早20年余りが経つ。昭和の右肩上がりの時代には、企業は事業の拡大だけを考えて前に進めばよかった。今は違う。不況の中で、企業経営には様々な面で変革が求められている。

しかし、それをきちんと見据えられない経営者がトップ企業にも多い。高度成長の幻影と、当時の企業体質から抜け出せないのだ。それを如実に物語るのが、日本の国際競争力の低下だ。

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国際競争力、日本は世界27位

スイスのビジネススクールが毎年発表している国ごとの国際競争力のランキングでは、1992年まで世界一だった日本が、2010年には27位にまで落ちている(図参照)。1人当たりのGDPなど、00年には世界3位だったが、08年には23位に落ちている。

これは、僕に言わせれば経営者のせいだ。巷間政治が悪い、円高のせいなどといわれるが、とんでもない。長期にわたる不況を招いてきたのは企業経営者だ。

バブル崩壊以降の20年、世界の産業構造は大きく変わった。ところが、日本だけが変わっていない。

例えば、日本の産業の中心は自動車や電機などに代表される組み立て加工メーカーだ。しかし今、国際競争の中心は電子部品や半導体などに代表される部材・装置関連産業に移っている。なのに、日本企業はそれに対応できていない。世界の産業構造の変化についていけず、強かった組み立て加工メーカーでさえ新興国にシェアを奪われつつある。

産業構造とは、企業そのものだ。不況不況というが、誰の責任かといえば、企業を変えられない経営者にほかならない。