かつては「未来の車」を見せる場だったが…

第1章:CES2026で何が起きているのか
――EV後・SDV後のモビリティ、その「語られ方」が変わった

CES2026のモビリティ展示を一通り見て、まず強く感じるのは、説明のされ方が根本から変わったという事実である。かつてCESにおけるモビリティ展示は、「未来のクルマ」を見せる場だった。EVの航続距離、自動運転のレベル、車内UX、コックピットの演出――どれだけ先進的か、どれだけ派手かが、そのまま価値として受け取られていた。

しかし、CES2026では違う。各社の展示やセッションで繰り返し語られていたのは、その技術をどうやって量産に載せるのか、どう更新し続けるのか、障害が起きたとき誰がどこまで責任を引き受けるのかといった、極めて現実的で運用寄りの論点だった。そこにあったのは、「夢を語る空気」ではない。産業を成立させるための設計思想である。

CES2026では、EVもSDV(Software Defined Vehicle、ソフトウェア・デファインド・ビークル)も、もはや“主役”として扱われていなかった。EVは「選択肢」ではなく前提条件。SDVも「売り文句」ではなく、運用を成立させるための競争条件である。