そして2003年に勤務していた会社から分社独立して社長になったのをはじめ、現在は具体的な目標として掲げた内容をすべて実現。会社も設立時の3人から15人に規模を拡大している。ただし、いまは大事にする価値観が当初とは変わったと言う。

「私と同様に、全社員が自分の願いを叶えられるようにしたいと考えるようになりました。我々は労働集約型産業なので、そうしないと会社が成り立たちません」(間宮社長)

そこで全社員に対しタイム・マネジメント4.0に関する研修を行うとともに間宮歌子取締役がコーチングの資格を取り、そのフォローを行っている。

一方、生産性向上を目的に、組織全体でタイム・マネジメント4.0を導入しはじめたのが東海東京証券である。同社では2010年から入社4年次の若手社員と管理職層を対象に、それぞれの階層に合わせたタイム・マネジメント4.0に関する研修を実施している。

成果に結びつく仕事を最優先する

07年入社の川島繭子さんは10年11月にこの研修を受講した1人である。川島さんは入社後リテール営業に従事し、11年10月から富裕層の顧客に対するコンサルティング業務を担当している。

「以前は仕事のどれも重要に見えたうえ、プライベートでもしたいことがたくさんあっていつも何かに追われていました。いまも忙しいのは同じですが、頭と体が連動するようになり、仕事のスピードが向上し心に余裕を持てるようになりました」(川島さん)

川島さんが研修で学んだのは、時間管理のマトリックスによる優先順位のつけ方である。自分の仕事をマトリックスに当てはめてみると、「緊急かつ重要」な第1領域には顧客からのクレームや上司からの頼まれ事があたり、「緊急ではないが重要」な第2領域は定期的な顧客訪問による人間関係づくりやニーズ喚起、情報収集による手厚いフォローの準備などである。第2領域にフォーカスすることで、第1領域の仕事が減り余裕を持って仕事ができるようになると教えられた。

「それに私の場合、ダラダラとネットやスカイプをしてしまうなど、緊急でも重要でもない第4領域に時間を取られているのが問題だと気付きました。それを減らすには、明確な目標を持つことが1番大事」(川島さん)