日本への余波はどうなるか
日本では、アニメ制作会社「ウィットスタジオ」とNetflixはショートアニメ『犬と少年』で2023年1月という非常に早いタイミングでアニメの背景美術制作に画像生成AIを利用し、発表している。それ以降、東映アニメーション、Production I.G、OLM、手塚プロダクションなど個社別ではAIを使ったアニメ制作技術の検討もされている。
クリエイターへの反響を気にして公開していない企業がほとんどだが、アニメ・ゲーム・マンガなどのプロダクションでこの領域のインテグレーションは誰もが注視している。
日本ではアメリカと状況が違い、生成AIに対する心配の声はあれどもストライキやリストラといった大きな“事件”は起きていない。
特に日本のアニメ産業はもともと5000~6000人「しかいない」限られた人数で年間400本以上ものテレビアニメや劇場版アニメを作っている。むしろ制作をDX化し、工程を楽にするものとして親和的に受け止められる向きもある。
「ジブリ風生成AI」は著作権に触れるのか
すでに生成AIを使ってアニメ制作を各社と検討しているAiHUB社のモデルを使って、日本で今後どのように進むのかを予測してみたい。
同社は2023年4月に設立されたベンチャーではあるが、2年半ですでに約5億円近い資金調達を行っており、このジャンルでは先進的な成果をあげている。経産省およびNEDO主導の国内生成AI開発力プロジェクト「GENIAC」に採択され、著作権クリアな純国際画像生成AI「oboro:base」を2025年11月に発表している(※)。
※ Branc.jp「AiHUB、著作権クリアな純国産画像生成AI「oboro:base」公開&技術レポート配布。アニメ業界の商用利用を支援」
“著作権クリア”というのはAIが学習するための「学習データ」をどこからとるかの問題である。Webに散らばった膨大な分量を学習に使い、オープンAIが「ジブリ風生成AI」を作成できるようになった2025年3月は記憶に新しい。
いまでもジブリ風に描きなおされたアイコンをXやFacebookで使っている人も多い。しかもその学習されたデータは、トトロやナウシカなどの確立されたキャラクターでない限り、かつ商用利用されていない限りは違法ではない。「~風」に著作権が主張できないことはすでにラインが引かれている。
