聖域は軽井沢だけ

だから、子どもに手をかけたごはんをつくれる聖域は軽井沢だけ。家について車から降り立つたび、ひとりの人間に戻れる気がした。肺の奥の空気が入れ替わり、はじめてきちんと深く呼吸をする。それとともに、これまで浅い呼吸しかしていなかったことに気づく。そっと芝生を踏みしめ、夜の匂いを嗅ぐ。

こちらでも忙しいときは忙しい。締め切りなどが立て込んでいるときは家族が寝静まった深夜に資料を読み、原稿を書き、明け方に外が白みかけてくるのを見ていったんベッドに入り、午前中は朝ごはんを食べさせてからまた仮眠をとる。調査分析など短期集中型で仕上げなければいけない仕事のときも、ひとりで時間をまとまって使える深夜の時間帯を充てる。