住宅価格は下がる

私は不動産価格がこの先、2026年以降に下がると予測しています。理由はこうです。

前述したように、日本の金利はかなり高い確率で来年にかけて短期、長期ともに上昇します。米国では、日銀の政策決定会合にあたる中央銀行(FRB)のFOMC(公開市場委員会)が12月9日、10日に開かれ0.25%の利下げが行われましたが、今後も、来年5月のFRB議長の利下げ推進派への交代も含めて金利下げが続くと予想されます。

その結果、米ドル売り・日本円買い、つまり円高に振れると思われます。実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)は、未だに日本はマイナスで、米国はプラスで、そのせいで円安が長く続いてきましたが、それでもその差が縮まることは、円安が是正されやすいと考えられます。

そうすると国民の生活にどんな影響が出るのか。

日本に来る外国人観光客の増加にブレーキがかかります。円安の是正により、これまで超割安だった日本での宿泊や買い物が高くなるからです。さらには、高市首相の台湾有事をめぐる「存立危機」発言で中国が日本への渡航自粛要請したことで中国人観光客が激減しています。私が大阪で泊まるホテルも以前は中国人観光客が大勢いましたが、ホテルに聞いてもかなり減っているとのことです。しばらくはこの傾向が続くでしょう。

そうすると、ホテルがこれまでのように集客できなくなります。ダイナミックプライシングという、需給に合わせた料金を設定しているホテルが多いですから、ホテル料金が下がります。

都心の不動産価格に下落圧力がかかる

ここ数年、訪日客増加によりホテル料金が上がり、それによりホテルの用地取得意欲が高いですが、訪日観光客が減れば、ホテル料金下落とともに、用地取得のインセンティブも下がります。それは、マンションの用地取得価格にも大きく影響してきます。

建設中の高層マンション
写真=iStock.com/wat
※写真はイメージです

また、外国人の不動産取得にも歯止めをかけようとする国会議員や千代田区をはじめとする自治体の動きも出始めています。これらのことから、とくに高騰した都心の不動産価格に下落圧力がかかると考えられ、そのことは周辺地域にも波及していくと私は考えています。さらには、金利上昇は、企業の土地取得や個人の不動産購入にはマイナスです。

このことは、すでに不動産を取得している層、とくに最近高値で不動産を買った人たちには、金利上昇も含めてあまり良い話ではありません。一方、金利は上昇するものの、これから不動産を買おうとする層には、物件や土地の相場が下がり、良い話となります。

このように、2026年の日本経済は、短期・長期の金利が上がることで、これまでとは違った経済の大きなターニングポイントとなるのではないかと考えています。

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