手軽に見えるレーザーや注入治療にもリスクが

かつて美容医療の道に進む医師は、形成外科や一般外科、あるいは皮膚科などで数年間しっかりとしたトレーニングを受け、手術手技や皮膚疾患に関する深い知識と経験を身につけた後、美容分野に転身するのが一般的でした。これらの診療科で培われる診断能力や合併症への対応力は、安全な美容医療を提供する上で極めて重要な基盤となります。

しかし、美容医療市場の拡大とともに、初期臨床研修を終えたばかりの若い医師が、十分な専門的トレーニングを経ずに美容医療の現場に立つケースが増加しているという現状があります。もちろん、すべての「直美」医師の技量が低いわけではありませんが、経験豊富な医師に比べて、診断の精度や手技の熟練度、予期せぬトラブルへの対応能力に差がある可能性は否定できません。

並んだ手術器具を触る医師
写真=iStock.com/taikrixel
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特に、レーザー治療や注入療法などは、手軽に見えても一歩間違えれば火傷やけどや神経損傷、血管塞栓そくせんといった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。また、シミだと思っていたものが実は皮膚がんだった、というケースも見逃してはなりません。こうしたリスクを回避し、安全で質の高い美容医療を受けるためには、患者さん自身が医師の経歴や資格をしっかりと確認することが重要になります。