衝撃波で4000棟の建物のガラスが割れた

秒速18キロメートル(マッハ50以上)で大気圏に突入した隕石は、大気との摩擦によって数万度の炎に包まれました。そして上空20キロメートルで爆発し、太陽よりも眩しい閃光に街が包まれます。その直後、粉々になった無数の隕石が、半径約100キロメートルの範囲に落下しました。

さらに大爆発から90秒後に爆音と衝撃波が街を襲い、4000棟の建物のガラスや壁が崩れ、1200人以上の人々が負傷しました。死者が出なかったのが不幸中の幸いという、まさに大惨事だったのです。

隕石とは、宇宙空間から地球の大気に飛び込んできた小天体(小惑星や彗星)のかけらが、燃え尽きずに地上まで落下してきたものです。宇宙からはたえず、無数の小天体が地球の大気に突入してきますが、ほとんどは重さが数ミリグラムから数十グラム程度のものです。

これらは大気との摩擦で熱くなって光り、地上からは流星(流れ星)として観測されます。上空100キロメートルあたりで光り、70キロメートルくらいで燃え尽きるのが普通です。

しかし、飛び込んできた小天体のサイズが大きくなると、上空で燃え尽きずに地上まで到達し、それを隕石と呼びます。今回チェリャビンスクに落下した隕石は、大気圏に突入した時点で直径17メートル、重さは1万トンもあったと推定されています。

クレーターの空中写真
写真=iStock.com/SimonSkafar
※写真はイメージです

大都市に落ちていたら負傷者数は桁違いだった

ロシアでは1908年にも「ツングースカの大爆発」と呼ばれる、小惑星の落下がありました。シベリアの山林に推定40~50メートルの巨大な小惑星が落下して上空1キロメートルで爆発し、半径30キロメートルにわたって森林が炎上したといいます。僻地であったために人的な被害はなかったということです。

もしチェリャビンスク隕石が落下したのが大都市であれば、負傷者の数は文字通り桁違いのものとなったでしょう。

さらに、今回幸いだったのは、隕石の落下速度が比較的遅く、また低い角度で地球に突入してきたことです。そのために隕石が高温状態にさらされる時間が長く、隕石は上空20キロメートルで爆発して粉々になりました。隕石の密度が低く、全体がもろい状態だったことも、空中分解した原因だったと考えられています。