恐竜を絶滅させた直径10キロメートル級天体

これがツングースカ大爆発クラス、直径50メートル程度の小天体になると、数百年から1000年に1回くらいになるそうです。さらに、恐竜を絶滅させた原因とされる、直径10キロメートル級の天体ですと、1億年に1回程度と考えられています。

佐藤勝彦『眠れなくなる未来の宇宙のはなし』(宝島社文庫)

6500万年前、直径10キロメートルの天体が地球に衝突した時、そのエネルギーは広島型原子爆弾の10億倍に相当したそうです。10キロメートルとは、東京を走る山手線の長径ほどの大きさです。その衝撃によって、マグニチュード12(14という説も)という想像を絶する巨大地震が起きたと推定されています。

地震の規模を示すマグニチュードは、1つ上がるごとにエネルギーが32倍になります。マグニチュード12といえば、地球上で起きる最大級の地震とされるマグニチュード9の、3万倍以上のエネルギーです。また衝突によって、高さ数千メートルという巨大津波も発生したとされます。

さらに膨大な土砂や灰が空中に巻き上がって、何年も太陽光を遮り、地球は急速に寒冷化して「衝突の冬」が訪れたと考えられています。これらの影響で、繁栄を極めていた恐竜を始め、地球上の多くの生命が死滅したのです。衝突の痕跡は、直径約160キロメートルの「チチュルブ・クレーター」(メキシコ)として残っています。

直径10キロメートル級の天体が1億年に一度、地球に降ってくるとしたら、単純計算ですが3500万年後には同じ災厄が再び地球を襲っても不思議ではありません。6500万年前の天変地異は、恐竜が滅び、代わって哺乳類が地球生命の主役の座を獲得するきっかけとなりました。次の巨大天体衝突では、地球環境と生命にどんな影響がもたらされるのでしょうか。

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