家族の健康を守るために必要なことはなにか。住まいるサポートの高橋彰社長は「意識していない人が多いが、“家の性能”が住む人の健康を左右している。インフルエンザ、アレルギー、喘息、いずれも家の環境と無関係ではない」という――。

※本稿は、高橋彰『結露ゼロの家に住む! 健康・快適・省エネ そしてお財布にもやさしい高性能住宅を叶える本』(セルバ出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

「湯冷めの心配」は“家のせい”だった

小さなお子さんがいる家では、寒い季節になると、冬の入浴後、子どもの体が冷えて風邪をひかないように、慌てて体を拭いて服を着せていると思います。ところが、高気密・高断熱の家ではあまりその必要はありません。家中を一年中、ほぼ同じ室温に保つことができるから体を冷やす心配があまりないのです。

筆者はこれまで30年間あまり、住宅・建築業界で働いてきましたが、この間、日本の住宅性能について知識がない、あるいは誤解があることが原因で、性能不足の家を建てて後悔している方々を目にしてきました。

日本人に結露のない健康で快適な家に住んでほしい。そんな思いから、いまは、「これから家を建てたい」という人にむけ、住まいづくりをサポートする会社を経営し、性能にこだわっている工務店を無料でご紹介するサービスを提供しています。

本稿では、その専門家の立場から、冬暖かく、お子さんが健康に育つ家にするためのポイントについて説明したいと思います。

暖房「あり」でインフルエンザ発症リスクが45%減

寝室の暖房の「あり」「なし」で子どもの体調不良の発症リスクを比較したデータがあります。

暖房があるとインフルエンザで45%減、発熱3日以上が73%減、風邪(3回以上)が77%減と、風邪などの発症リスクが大幅に低くなります。つまり、寝ている空間が暖かければ風邪をひきにくいことがわかります。

とはいえ光熱費が上がっている中で、夜の間ずっと暖房をつけておくと光熱費が気になると思います。それに低断熱の家ではどんどん冷えていく室温を暖めるため、光熱費もばかになりません。だから暖房を切るというご家庭がほとんどでしょう。

住宅の断熱性能を高めると、寝る際に暖房を切っていても朝までそれほど室温は下がらないため、実質的には暖房しているのと同じことなのです。

光熱費を気にすることなく、暖房をずっとつけているのと同様に風邪をひきにくいというわけです。

子どもが風邪をひきにくいということは、特に夫婦が共に働く家庭では、急に会社を休まなければならないことが減るため、大きなメリットだと思います。