「終わった!」という達成感を得るには…

時間で区切っても、成果に手応えがなければ不完全燃焼感が残ります。

ダラダラ残業がそのいい例で、時間を決めないで居残りして仕事を続けても、疲れが溜まっていくだけで「終わった!」という達成感がありません。

しかし、量の多い仕事でも、「今日はここまで片づけるんだ」と「ここまでやる量」を決めると、はっきりしたゴールが見えてきますから、気分的にも楽です。やる量を決めて、やる。できたら、気持ちにも「区切り」ができます。

しかし、やることを「量で区切る」ということにもむずかしいときがあります。

「今日はここまで」と決めても、仕事が思うように進まず、時間がどんどん過ぎていき、片づかない場合もあるからです。

人間だから、好不調の波があり、感情コンディションにも波があります。だから、一定のノルマを自分に課せても、いつもうまくいくとは限らないのです。

実行可能なレベルまで小刻みにする

こういうとき、何がなんでも、「自分が最初に決めた量」を終わらせるために、がんばり通そうとする人がいます。このやり方では、自分を無理に追い込んでしまう結果になり、こうしたことが続くと、体調だけでなく、感情コンディションもまた悪くなります。

また、中途半端に放り投げたり、自分が決めた量をできない自分に、弱気になったりする人もいるでしょう。不安が生まれたり、自分への信頼がなくなったりもします。

ではこうした、自分が設定した「量的な目標」が達成できないとき、どうしたらいいでしょうか。

和田秀樹『なぜあの人はいつも上機嫌なのか』(扶桑社文庫)
和田秀樹『なぜあの人はいつも上機嫌なのか』(扶桑社文庫)

それには、最初に決めた「量的な目標」を、実行可能なレベルまで下げて、小刻みでもいいから達成させる。全体の達成はあきらめても、「部分の達成」はしていくことです。

「部分を達成」できると、「わたしにはできそうだ」とか「わたしにはやれる」という自分に対する信頼感や有能感をもてます。つまり「自己効力感」を高められるのです。このことが大切なのです。

「自分はできる」という自信のような感覚をもてると、困難な状況でも意欲や積極的な行動力が高まり、明るい感情を生み出すからです。

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