スポーツでは反則での得点は認められない
帝国データバンクのレポートでは、2024年のコンプライアンス違反の倒産は、過去最多の388件に及ぶとのこと。組織管理、危機管理の視点から見れば、名目上「やってます」ではなく、「実効性が上がっている」ことが目的なのですが、その実効性には疑問を感じています。
危機は必ず起こるものです。「(危機は)あってはならない」という精神論を唱えるような組織は、脆弱な危機対応しかできないと考えています。コンプライアンスは業務推進上の罰則やハンディキャップではなく、正しい成果を上げるためのルールです。
以前より厳しくなったコンプライアンス
スポーツでルールを破れば反則であり、その成果は成果として認められません。サッカーでキーパー以外の選手がボールを手でゴールさせたのと同じ違反なのです。こうしたコンプラ違反による成果も同じです。
反則でも点が入ったからOKとはならないように、不正手段によって情報を得て、それが業績に反映できたとしても、結局後になってバレれば、経営陣も責任が問われます。日本生命は2025年9月中間連結決算では、グループ基礎利益が過去最高を達成したということですが、この事件の会見は、当然とはいえ最高益達成の高揚感などみじんもないものでした。
今回の事件は単なる他山の石、自社とは関係ない話ではなく、我が国すべての企業に求められているコンプライアンスの「現在位置」が、かつてとは比較にならないほど厳しいものになったということだと思います。そしてそのための対応として、社内での認識共有や実効性ある研修がなされているのかという警鐘ととらえるべきでしょう。



