子育ては、かなり大きな負荷をともなうものです。どんなお洒落な家の中でも、紙おむつやアンパンマングッズが溢れます。40代ともなれば、生活様式が確立しているぶん、変化は大きく、受け入れるのも大変です。さらに40代は、生活に別の負荷が加わってくる世代でもあります。親が倒れた、夫婦どちらかが病を得た、体力は衰えていく……。

そんなときに出産という一大事に臨むには夫婦の協力が大切です。若いころのようには無理が利きません。もともと妻の負担が大きくなりがちなのですから、夫としては、「○×だけ担当する」「手伝う」で責任を果たした気になってはいけません。妊娠する、産む、母乳を出す以外のことはすべて男性でもできるのですから、育児以外の家事も含め、総力戦で臨むべきでしょう。

加えて痛感したのは、安心して子供を育てられる環境が、日本の社会ではまだ十分に整っていないことです。出産年齢の高齢化は女性の社会進出によるものとよくいわれますが、これは、女性あるいは夫婦の選択の問題ではありません。若いうちに出産で仕事を離れると出産後に同じ職に戻れない不安から、子づくりを差し控えざるをえない状況があります。政府の少子化対策は今のところかけ声倒れに終わっています。

いろいろ苦労はあっても、子育ては楽しく、授かったことに大感謝していますし、後悔したことは1度もありません。40代で子供を持つのも、よいものですよ。

小説家 波多野 鷹
1967年、東京都生まれ。学習院大学文学部中退。集英社文庫コバルトに作品多数。近著に『ザ・猛禽類』。久美沙織著『45歳、もう生んでもいいかしら?』に出産の経緯。
(構成=高橋盛男 撮影=石橋素幸)
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