育児参加に積極的な父親を「イクメン」と呼ぶようになった。核家族化の流れが止まらず、女性の社会進出が当たり前になった昨今、「男性の育児参加」が注目を集めている。
育児休業法5条には、原則として、その子どもが1歳になるまでの間、労働者は休業できると定められている。
では、妻が専業主婦、あるいは共働きだが育児休業中で家庭にいる状態の場合、夫は育児休業を取ることができるのか。
労働上の法律問題に詳しい、圷(あくつ)由美子弁護士(旬報法律事務所)は「育児休業を取ることは可能」と話す。「これまでは、会社によっては、労使協定で『父母いずれかが育児に専念できる場合、他方の親は育児休業を取ることができない』との取り決めが認められていた。しかし今年6月末に育児・介護休業法が改正され、このような定めで育児休業取得を拒むことができなくなった」と解説する。
また、このように父母ともに育児休業する場合、期間を子どもが1歳2カ月になるまで延長できる特典が付される。この新制度を、厚生労働省は「パパ・ママ育休プラス」と名づけて、普及に努めている。
しかし、民間企業に勤める男性の育児休業取得率は、わずかに1.23%(2008年・厚労省の雇用均等基本調査より)。男女平等が建前の時代とはいえ、仕事より家庭を優先しようとする男性会社員は、依然として肩身が狭い状況にある。ましてや、妻が専業主婦であったり、育児休業を取っている場合には、自分が育児休業を取ることについて周囲に対してその必要性を説明できないと感じる人も多いかもしれない。
だが、子育てはその「必要性」を問うよりも、「権利」として捉えるべきだろう。
「人は職業生活のみならず、家庭生活を営む人格的存在であることを忘れてはならない。特に、お産直後の期間は、父親の育児休業取得の需要は高いため、今回の改正で、産後8週間以内に取れば、後に再度無条件で取得できるようになったことは評価できる」(圷弁護士)